陰陽 wikipedia|無料辞書
陰陽(いんよう)とは、古代
中国の
思想に端を発し、
森羅万象、
宇宙のありとあらゆる事物をさまざまな観点から
陰(いん)と
陽(よう)の二つに分類する
範疇。陰と陽とは互いに対立する
属性を持った二つの
気であり、万物の生成消滅と言った変化はこの二気によって起こるとされる。
このような陰陽に基づいた思想や
学説を
陰陽思想、
陰陽論、
陰陽説などと言い、
五行思想とともに
陰陽五行説を構成した。
◆ 概要
原初は混沌(カオス)の状態であると考え、この混沌の中から光に満ちた明るい澄んだ気、すなわち陽の気が上昇して天となり、重く濁った暗黒の気、すなわち陰の気が下降して地となった。この二気の働きによって万物の事象を理解し、また将来までも予測しようというのが陰陽思想である。
受動的な性質を「
陰」、能動的な性質を「
陽」に分類する。具体的には、影・暗・柔・水・冬・夜・植物・女などが「陰」であり、光・明・剛・火・夏・昼・動物・男などが「陽」である。これらは相反しつつも、一方がなければもう一方も存在し得ない。森羅万象、宇宙のありとあらゆる物は、相反する陰と陽の二気によって消長盛衰し、陰と陽の二気が調和して初めて
自然の秩序が保たれる。
重要な事は陰陽二元論が、この世のものを善と悪に分ける
善悪二元論とは異なると言う事である。陽は善ではなく、陰は悪ではない。陽は陰が、陰は陽があってはじめて一つの要素となりえる。あくまで森羅万象を構成する
要素に過ぎない。
◆ 特徴
;陰陽互根:陰があれば陽があり、陽があれば陰があるように、互いが存在することで己が成り立つ考え方。
;陰陽制約:提携律とも言い、陰陽が互いにバランスをとるよう作用する。陰虚すれば陽虚し、陽虚すれば陰虚する。陰実すれば陽実し、陽実すれば陰実する。
;陰陽消長:拮抗律とも言い、リズム変化である。陰陽の量的な変化である。陰虚すれば陽実し、陽虚すれば陰実する。陰実すれば陽虚し、陽実すれば陰虚する。
;陰陽転化:循環律とも言い、陰陽の質的な変化である。陰極まれば陽極まり、陽極まれば陰極まる。
;陰陽可分:交錯律とも言い、陰陽それぞれの中に様々な段階の陰陽がある。陰中の陽、陰中の陰、陽中の陰、陽中の陽。
◆ 展開
陰と陽とはもともと
天候と関係する言葉であり、陰は曇りや日影、陽は日差しや日向の意味として『
詩経』などの古書に表れる。『
春秋左氏伝』昭公元年に天の六気として陰・陽・風・雨・晦・明とあり、ここで陰陽は寒暑の要因と考えられ、また昭公四年には陰・陽・風・雨が
季節を特徴づける
気候の要因として扱われている。さらに『管子』幼官では明確に春の燥気・夏の陽気・秋の湿気・冬の陰気として寒暑の原因とされるとともに
四季(四時)の気候が変化する要因として扱われている。これがやがて四時の気を統轄する上位概念となり、さらには万物の生成消滅と言った変化全般を司る
概念、万物の性質を二元に分類する概念へと昇華されたと考えられる。
『易経』の
卦は6本の
爻と呼ばれる棒によって構成されている記号であるが、爻には「─」と「--」の2種類あり、易伝によりそれぞれの属性は陽・陰に当てられ、陽爻と陰爻を3つ重ねた八卦、八卦を2つ重ねた六十四卦は森羅万象を表象すると考えられた。これにもとづき漢代では卦の象徴や爻の陰陽にもとづいて解釈する易学がなされた。また繋辞上伝には「
太極→両儀→
四象→
八卦」という生成論が唱えられているが、両儀は天地あるいは陰陽、四象は四時、八卦は万物と解されている。
宋易(
宋代に興った易学)では
図書先天の学と呼ばれる図像を用いた象数易が行われたが、これらの易図では陽は白、陰は黒で描かれた。
南宋の
朱熹は
先天図にもとづき「太極→両儀→四象→八卦」の両儀を明確に陰陽と位置づけ、さらに四象を爻を2つ重ねたものとして
太陰(老陰)と名づけた。
なお
Unicodeにおいて陰陽を表す記号には陰陽魚の
太極図()が当てられており、そのコードはU+262f、☯である。また陽爻(⚊)はU+268A、⚊、陰爻(⚋)はU+268B、⚋である。
◆ 天地人
三才の思想である。
◆ 陰陽表