警察庁長官 wikipedia|無料辞書
警察庁長官(けいさつちょうちょうかん 英語Commissioner General)は
警察庁の長たる
警察官である。その地位については
警察法(昭和29年6月8日法律第162号)第16条第2項に規定があり、
国家公安委員会の管理に服し、警察庁の庁務を統括し、所部の職員を任免し、及びその服務についてこれを統督し、並びに警察庁の所掌事務について、
都道府県警察を指揮監督する。
◆ 地位
警察庁長官は、警察庁の庁務を統括する
国家公務員であり(警察法第16条第1項)、
警察官をもって充てられる(同法第34条第3項)。
:警察庁長官は、警察法において
階級制度を適用されていない唯一の警察官であるが(同法第62条)、その地位は警察官の階級制度上、最上位に位置する
警視総監よりもさらに高い。
:・警察庁長官は、平時においては警察庁の所掌事務についてのみ都道府県警察に対して指揮監督を行うにとどまるが(同法第16条第2項)、内閣総理大臣によって緊急事態が布告された際は、後に詳述するように、布告区域を管轄する都道府県警察本部の警視総監又は警察本部長に対し必要な
指揮・
命令をなし、また布告区域以外を管轄する都道府県警察の警視総監又は警察本部長に対し布告区域その他必要な区域に警察官を派遣することを命ずることができる(同法第73条)。このように、警察官の最上位階級に位置する警視総監に対しても指揮・命令をし得るということからも、警察庁長官の地位が極めて高いことが窺い知れる。
:・警察庁長官は制服において「警察庁長官章」を両肩に着用するが、これは5連の日章をもって構成されており、警視総監の
階級章である4連の日章より数がひとつ多く、この数の違いも、警察庁長官が警視総監よりもさらに高位の警察官であることを示している(
[外部リンク] 警察官の服制に関する規則)。
警察庁長官の任免は、同法第16条第1項において、国家公安委員会が
内閣総理大臣の承認を経て行うという特殊な形態となっている。また警察庁長官は、他省庁における
事務次官と同等の地位にあるものとして扱われ、行政
官僚の実質的な最高意思決定機関である
事務次官等会議の正規メンバーであり、また同法第76条第2項で
検事総長と常に緊密な連絡を保つものとされる。
自衛官では、制服組トップの
統合幕僚長がこれに相当する地位である。
◆ 国家公安委員会の管理権
警察法第15条により、警察庁は
国家公安委員会に設置され、その管理下に置かれている。これは、中央行政機関でありながらも、国家の治安維持に関わる責務を負う警察の
中立性を保つためとされ、通常、国家公安委員会以外の機関から監督を受けることはない。司法警察活動に際し、個別の警察官は
刑事訴訟法の規定に基づき一定の指揮を
検察官から受けることがあるが、警察官は正当な理由がある場合には、この検察官の指揮に従う必要はない(ただし、検察官はこの場合にも、検察庁法第6条の規定に基づき、自ら捜査をなし、または検察事務官をもって捜査をさせることが可能であることは言うまでもない)。この時、検事総長、
検事長又は
検事正は、国家公安委員会が懲戒権限を持つ者、つまり国家公務員たる警察庁警察官と
地方警務官に対する懲戒の訴追を国家公安委員会に行うことが認められている(刑事訴訟法第194条)が、検事総長、検事長又は検事正自身には懲戒権限はないため、この正当性の判断や必要性等は国家公安委員会が独自に判断することとなっている。これも警察庁を他の機関からの不必要な干渉を避けるためのものである。
◆ 緊急事態の特別措置
平時において、警察庁は、国家公安委員会以外の管理監督は受けないが、警察法第71条の規定により
内閣総理大臣が国家公安委員会の勧告に基づき、全国または一部の区域について緊急事態の布告を発した場合、同法第72条により内閣総理大臣はその統制権により一時的に警察を統制し、その緊急事態を収拾するため必要な限度において、長官を直接に指揮監督する。 これは、実力を持つ治安維持機関である警察をその
民主主義的コントロール下におきながら、速やかな事案収拾を図るためのものである。
緊急事態の布告が発せられたときは、警察庁長官は布告に記載された区域を管轄する都道府県警察の
警視総監又は
警察本部長に対し、
管区警察局長は布告区域を管轄する府県警察の警察本部長に対し、必要な命令をし、又は指揮をするものとされ、布告区域を管轄する都道府県警察以外の都道府県警察に対して布告区域その他必要な区域に警察官を派遣することを命ずることができる旨が、同法第73条に規定されている。
◆ 歴代の警察庁長官