消火器 wikipedia|無料辞書
消火器(しょうかき)とは、初期の
火災を消すための可搬式または、半固定式の
消防用設備である。
使用する消火薬剤、薬剤の放射方式、形態などにより、いくつかに分類される。船舶用の消火器を除き、消防法による国家検定制度があり、これに合格した物でないと販売・陳列できない。最近見かけるエアゾール式の消火具(消火スプレー)があるが、これは消防法上消火器と見なされず、
エアゾール式簡易消火具として扱われる。
現在一般的に普及している消火器は加圧式ABC粉末消火器である。国家検定を受けた小型消火器は、化学泡消火器および一部の自動車用消火器を除き、
1981年に行われた規格改正により各社で操作法が規格統一され、「安全栓を抜く、ノズルを火元に向ける、レバーを握る」の三つの操作で誰でも使用できる。
◆ 使用方法と注意
一般に普及している消火器の場合の使用方法。後に述べる通り、大型消火器、化学泡消火器はこの限りでない。また、小型の粉末消火器には押しボタンを叩いて加圧用ガス容器の封板を破る方式の物もある。
#消火器上部の安全栓(黄色)を抜く。
#ホースをはずし、ノズルを火元に向ける。距離は3m程度。余り近づいても効果は上がらず、却って炎が吹き返して危険である。
#上下のレバーを握り薬剤を放射する。風上から炎の根本を手前から掃くように消火する。
完全に鎮火したかよく注意し、極力全量を放射する。特にふとんやゴミ箱などの火災に際しては、鎮火後さらにバケツなどで水をかけておくなどすると再燃を防げる。特に粉末消火器や二酸化炭素消火器は注意を要する。
屋内で粉末消火器を用いると視界が悪くなるので、避難路を背に向ける等の注意が必要である。泡消火器で油火災を消す場合は、油面を圧力で掻き回さないように泡を放射する。
また、消火器は一本ずつ操作するよりも数本で一斉に消火するほうが、より大きな鎮圧効果が期待できる。
一般に消火器で消火可能な火災は「天井を炎がなめる」以前の状態である。消火器で鎮圧困難であれば、
消火栓設備等の備えがあれば直ぐその操作に切替え、或は避難し無闇に消火器に執着して時期を失する事の無いようにすべきである。
◆ 点検・詰替えについて
消防法により設置義務のある防火対象物については6ヶ月に一度、消防設備士による点検が必要である。
薬剤が劣化し絶対に詰替えなければならない消火器は化学泡消火器のみであり、普及している粉末消火器は必ずしも詰め替えの必要は無いが、設置年数が極めて長い物は稀に吸湿・固化することがあるので、法による
点検義務が無い家庭用等は5年を目処に点検を兼ねて詰め替えるのが良いであろう。
・現在では加圧式粉末消火器は極めて安くなっており、単独で詰替えを依頼すると新規に購入するより費用が掛かる場合が多いので、市役所・自治会・消防機関が斡旋をしている時に依頼するか買い換えるのが賢明であろう。
粉末消火器の簡単な判別法としてたまに上下逆さにしてよく振り、消火器内部で粉末がサラサラと流動するか確かめる方法がある。
加圧式粉末消火器はキャップや容器の緩み、錆び、容器の変形に特に留意し、異常があれば廃棄処分する。
蓄圧式は極めて稀に蓄圧ガスの漏洩があるので、圧力計の針が緑色範囲内を示しているかを確かめる。強化液・機械泡は変質のおそれが無いので放射しない限り詰め替える必要は無く、単に圧力計に注意していれば良い。
安全栓が悪戯等によって抜かれた場合は、必ずレバーの動きを止めるストッパーの支柱を起こしてから安全栓を再度差し込む。
使用済み表示装置の「OKマーク」「goodマーク」が脱落している場合は使用された危険があるので、消防設備士による点検を乞う。
◆ 対応する火災
日本の
消防法では、対応する火災により以下の3種類が表示されている。
・
A火災(普通火災)用 :
紙、
木、
繊維、
樹脂など、主として固形物が燃える一般的な火災に適応。
・
B火災(油火災)用 :
油、
ガソリンによる火災に適応。
・C火災(電気火災)用 : 電気設備の火災に使用可能。
実際は表示されていても、実際的でなかったり、特例で適応が認められたりする場合も多い。しかし、高圧の変圧器の火災に泡消火器を用いる等の最悪の組み合わせは避けられる。
消火器には三種類の円型マークがあり、これにより消火器が適応する火災がわかるようになっている。
・A火災 - 白地に黒文字
・B火災 - 黄色地に黒文字
・C火災 - 青地に白文字(黒文字ではないのは見づらくなるため)
アメリカの消防法令では、下記の5種類の表示が用意されている。
・A (Common Combustibles) : 普通火災、日本のA火災に相当。緑色で表記。
・
B (Flammable Liquids & Gases) :
ガソリン、
プロパンガスなどの火災。赤色で表記。
・C (Live Electrical Equipment) : 電気火災、日本のC火災に相当。青色で表記。
・
D (Combustible Metals) :
マグネシウムや
リチウムなどの金属火災。黄色の星形で表記。
・
K (Cooking Media) :
サラダオイルなどの調理火災。黒色で表記。
◆ 消火原理
消火の原則の内の3つ、冷却作用、窒息作用、抑制作用の応用により消火する。
・冷却作用 - 火を冷却する事により、燃焼温度を奪って消火する。
・:焚き火にバケツで水をかけて消す、蚊取線香を金属に触れさせて消火する等がこれである。
・窒息作用 -
酸素を遮断するか、濃度を薄くして消火する。
・:敷物、布等で覆って火を消す、火消壷で熾火を消す、焚き火を土に埋める等がこの一例である。
・抑制作用 -
燃焼の反応を抑えて消火する。負触媒効果ともいう。
・:粉末消火薬剤、ハロゲン化物消火薬剤が持つ特殊な作用である。
◆ 能力単位
消火器の能力を示す数値。消火できた火災模型の種類・数によって表わされる。この実験により何れかの数値が1以上でないと消火器と認められない。Aは普通火災で、第一消火試験で1以上(大型消火器は10以上)、Bは油火災を言い第二・第三消火試験で1以上(大型消火器は20以上)の数値が能力単位を示す。Cは電気火災を表し数値はない。
また、ABC粉末消火器の様にA火災能力単位が大きくても実際には再燃の危険が大きかったり、強化液消火器の様にB火災能力単位が付与されていても、効果的とは言い難かったりするので、能力単位のみで消火器の性能を評価するのは危険である。
◆ 消火薬剤による分類
◇ 水消火器
かなりの種類があるが、現在製造されているのは汚損を嫌う用途に蓄圧式で噴霧ノズルを持つ
純水を用いた浸潤剤等入り水消火器があるのみであり、これが対応する火災は普通火災と電気火災である。なお、純水は不導体であるが、後者の火災には感電に対する十分な安全確保が必要である。原理的には水バケツと同じだが、水バケツは法令上
簡易消火用具とされ、消火器ではない。消火の作用は冷却によるものである。
酸アルカリ消火器
濃硫酸と
炭酸水素ナトリウム(重曹)水溶液を反応させて、発生した二酸化炭素の圧力で薬剤を放出する。最も歴史の古い消火器の一つで、硫酸の入ったガラス瓶を消火器外から押し金具で割り、炭酸水素ナトリウム水溶液と反応させる「破瓶式」やハンドルを回して瓶を破る「硫酸瓶回転式」、外側のガラス瓶に粉末の重曹を詰めその内側に硫酸アンプルを入れた「二重瓶式」、欧米では主流である化学泡消火器同様、転倒して反応させる「転倒式」などが製造されていた。
しかしこれらは、アンプルの割れ方によって反応が一定でないことや、薬剤の詰め替え時にガラス破片の扱いに注意を要するなどの問題があるため、
1951年の規格改正では硫酸アンプルを網篭に入れて破砕混合される方式の「破瓶式」に限定される。(ただ、規格改正後も転倒式は製造されていた)これにより、安定した消火能力を示し、詰め替えも容易になった。消火作用の実質は水と殆ど変わりないが、当時としては強力に噴出する性質が好まれたようである。8Lのバケツの水は3個でA-1の能力しか持たないが、10L程度の酸アルカリ消火器はA-2乃至はA-3の能力を有していたようである。
しかし、適応火災が木材や紙・布などが燃える普通火災のみであり、詰め替え時には硫酸瓶を扱わねばならぬ上、使用時には遊離した硫酸で腐食の問題もあり
1972年ごろに生産されなくなった。
・対応する火災
・普通火災
・電気火災(噴霧ノズルを持つ物)
水槽付きポンプ消火器
水槽に手押しポンプを付けた物、現在では製造されていない。国内では4ガロン入りが多かったようである。
欧米では未だ2.5ガロン入り程度の物が製造されている。
・対応する火災
・普通火災
・電気火災(噴霧ノズルを持つ物)
加圧式水消火器
炭酸ガス加圧式。日本では昭和40年代まで、おもに8リットルタイプのものがデパートなどで
よく設置されていた。大型水消火器としても加圧式が用いられた。
現在でも多くの民間旅客機がキャビンに搭載しているが、一般での使用は現在は無い。
・対応する火災
・普通火災
・電気火災(噴霧ノズルを持つ物)
蓄圧式水(浸潤剤等入り)消火器
・消火器 page1
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