そのピラミダルな山容にふさわしく、槍ヶ岳は四方に尾根と沢を伸ばしている。尾根は東西南北に、東鎌・西鎌・槍穂高・北鎌の四稜、沢は東南に槍沢、南西に飛騨沢(槍平)、北西に千丈沢、北東に天丈沢の四沢である。
なかでも一番の人気は、
北鎌尾根であろう。「
孤高の人」(
新田次郎著)の
加藤文太郎や「
風雪のビバーク」の
松濤明の
遭難によって著名となり、多数の登山客が訪れた結果アプローチ・ルートの荒廃を招いている。同所は
バリエーション・ルートであるにもかかわらず、人気のルートであり夏季には数珠繋ぎに登山者が並ぶことになる。この中にはブームに押され技術的に未熟な者も含まれ、彼らの無謀な行動が他の登山者に危険を及ぼす状況も発生している。